鳥羽一郎 夫婦絆 ベストセレクション

鳥羽一郎 鳥羽一郎 夫婦絆 ベストセレクション歌詞
1.夫婦絆

作詞:祝部禧丸
作曲:蔦将包

息子二人と 愛する妻と
かわいい孫に 囲まれて
春は日吉の 花渡り
家族肩よせ これたのも
妻の支えが あればこそ
酒を飲むなと 酒を飲むなと 妻の声

よう今日までついて来てくれたなあ。
おまえという港がなかったら、真誠丸(しんせいまる)
は座礁するとこやった。おおきに、おおきにやで。

親父(おやじ)みたいな あの酒呑みに
どうしてなった この俺も
悪い酒だと 知りつつも
弱い男の 茶碗酒
あいそつかされ 嫌がられ
酒を飲むなと 酒を飲むなと 妻の声

あんたの体は 家族の命やで。
これからも、おばあちゃんの知恵をかりて、
みんなで頑張っていこうな。さぁ真誠丸の船出や。

押しのひとすじ 後へは引けぬ
仕事に生きる 鬼となる
俺も男の 意地がある
負けてたまるか 真誠(まこと)道
願いかなわせ 日枝(ひえ)の神
酒を飲むなと 酒を飲むなと 妻の声


2.昭和北前船

作詞:星野哲郎
作曲:船村徹

お嫁にゆくんだね
おめでとう 妹よ
きいたぜ春の 日本海
雪をかぶった 鳥海山(ちょうかいざん)が
花嫁姿に 見えてるぜ
霧の小樽と 花の新潟
結ぶ昭和の あゝ… 北前船だよ

ひとふし唄おうかね
白波が 合の手さ
盃そっと もちあげて
うたうおけさを 寒風山が
肩ふりながら きいてるぜ
恋の小樽と 酒の新潟を
結ぶ男の あゝ… 北前船だよ

仲よくするんだよ
よかったな 妹よ
泣いたぜ ここは 日本海
おれは船乗り ゆけないけれど
喜び汽笛で 届けるぜ
坂の小樽と 歌の新潟を
結ぶ昭和の あゝ… 北前船だよ


3.兄弟船

作詞:星野哲郎
作曲:船村徹

波の谷間に 命の花が
ふたつ並んで 咲いている
兄弟船は 親父のかたみ
型は古いが しけにはつよい
おれと兄貴のヨ 夢の揺り篭さ

陸(おか)に上って 酒のむときは
いつもはりあう 恋仇
けれども沖の 漁場に着けば
やけに気の合う 兄弟鴎
力合わせてヨ 網を捲きあげる

たったひとりの おふくろさんに
楽な暮らしを させたくて
兄弟船は 真冬の海へ
雪の簾(すだれ)を くぐって進む
熱いこの血はヨ おやじゆずりだぜ


4.男の港

作詞:穂積淳・結城忍
作曲:中村典正

板子一枚 生命をはった
男度胸の 海が呼ぶ
競う船出を 送ってくれる
ありがとう 浜千鳥の群よ
豊後(ぶんご) 鶴御崎(つるみざき) 男の港

踊る銀鱗 しぶきの華に
親父ゆずりの 腕がなる
照らせ男の この晴れ舞台
ありがとう 水の子の灯台(あかり)
豊後 鶴御崎 男の港

高くかかげた 大漁旗を
待っているだろう 紅椿
松浦港(まつうらみなと)は もうすぐ近い
ありがとう 黒潮の幸よ
豊後 鶴御崎 男の港


5.泉州春木港

作詞:もず唱平
作曲:船村徹

五人も伜がありながら
ひとりも船に乗るヤツが
いないと悔んで涙ぐむ
泉州春木港(せんしゅうはるきこう)の 髭おやじ
鴎相手に呑む地酒
なんで男の気持ちがわかる
ヨーホホイ ヨーホホイ ああ…

地車(だんじり)祭りの宵宮(よいみや)で
みそめて惚れて五十年
時化の日 凪の日 つれそうた
泉州春木港の 恋女房
網を引こうか 船出そか
オレを支えたお前のために
ヨーホホイ ヨーホホイ ああ…

立派な稼業といわないが
命をかけた今日までの
漁師の心をついでくれ
泉州春木港の 兄弟よ
陸(おか)で女のケツ追うて
馬鹿をみるなよ どっしり生きろ
ヨーホホイ ヨーホホイ ああ…


6.海の匂いのお母さん

作詞:田村和男
作曲:船村徹

海の匂いが しみこんだ
太い毛糸の チャンチャンコ
背なかをまるめて カキを打つ
母さん 母さん お元気ですか
案じております 兄貴とふたり

海が時化(しけ)れば 時化(しけ)るほど
カキはおいしく なるという
母さん あなたの口癖が
土鍋を囲めば きこえてきます
やさしい笑顔が 浮かんできます

遠く離れた 子供らに
海の匂いを くれた母
わたしは 手紙が下手じゃけど
母さん 母さん 黙っていても
伝わりますとも あなたのこころ


7.港町雪月花

作詞:星野哲郎
作曲:船村徹

七つの姉と 五つの俺が
しゃがんで泣いた 嵐の夜明け
あの日から あの日から
母さんの 光る汗は
ふりつもる 我が家の雪を
集めてすてる 小川となって
父亡き港の 街を流れる

小さくなって 生きては駄目と
姉貴も俺も 叱られたっけ
あの日から あの日から
母さんの 光る汗は
ほの暗い 我が家の窓に
希望を点す ラムプとなって
父亡き港の 街に輝く

七つの姉も 二十才で嫁ぎ
漁師の妻のきびしさを知る
いつの日も いつの日も
母さんの 光る汗は
哀しみを 黙って流し
しあわせはこぶ 銀河となって
父亡き港の 春を呼んでる


8.時化酒場

作詞:峰梓
作曲:関野幾生

女は海だ 荒れたら恐(こわ)い
荒くれ漁師も 手に負えぬ
確かに俺が 悪かった
たまたまバクチに 手を出して
首をすくめて 駈込む寺は
港はずれの 時化酒場

思いもかけぬ 高値がつけば
誰でもルンルン 気分だぜ
チョイトのはずが 気がつけば
いつか深入り ホゾをかむ
二人三人 似たよな仲間
ボヤき反省 時化酒場

嵐が凪(な)ぎりゃ またにこにこと
笑顔も千両の いい女房
心で両手 合わせても
男は口に 出さぬもの
仕方ないわさ 寝静まるまで
待って帰ろか 時化酒場


9.演歌船

作詞:星野哲郎
作曲:船村徹

波に頭を ぶんなぐられ
プロに なるのさ 北洋の
時化を 恐れぬ 荒くれたちも
赤い夕陽に おふくろの
影を重ねる ヨーホホホ 演歌船

親父ゆずりの 塩から声で
歌う恋唄 こがれ唄
ここはさいはて スケソウ船の
銹びたデッキに 咲く花は
浪と鱗と ヨーホホホ 雪の花

涙だけしか あげられないと
別れ惜しんだ あの女は
無事にいるやら 根室のあたり
青く尾をひく あの星に
思い届けと ヨーホホホ 演歌船


10.帰港節

作詞:鈴木宗敏
作曲:中村典正

闘い終えた 男らが
暗い波間を いま帰る
めためたに 疲れても
笑顔が こぼれるぜ
ご苦労さんねと 迎えてくれる
おふくろ港の 灯を見れば

漁場(りょうば)が 海の修羅場なら
陸(おか)はいこいの 恋ねぐら
待たせたぜ 元気かい
想いが ほとばしる
合羽を着たまま ごろねを決めた
激しい季節 もうすぐ終わる

気まぐれ海が 相手なら
稼ぎ少ない 年もある
慰めて くれるだろう
あの娘が 生き甲斐さ
岬をまわれば やさしい胸だ
花園みたいな 漁港のなかだ


11.海の祈り

作詞:星野哲郎
作曲:船村徹

果てしなき 海の彼方に
水色の やすらぎを
求めた友は 帰らない
陸(おか)には住めない 依怙地な男が
木の葉の船に つかまりながら
蛙のように 歌っていると
無線をくれた ゆかいなあいつ
あいつを呑んだ 嵐が憎い

安らかに 眠れよ友と
花を投げ 伏しおがむ
おれにも明日は 知れないが
守っておくれよ おまえの力で
オイルのしみた 形見のギター
おふくろさんに 届けるまでは
いい奴でした 男でしたと
おふくろさんに 伝えるまでは

あなたには 海があるから
いいわねと 泣いていた
港の女(ひと)を おもいだす
逃げだすつもりは さらさらないけど
海には広い こころがあって
昨日の俺が 小さくみえる
荒れるな海よ おまえに惚れた
男の夢を 奪うな海よ


12.親子船

作詞:星野哲郎
作曲:中村典正

親父が船長で 伜のおれが
網をあずかる 漁労長(ぎょろうちょう)
そら引け ぐっと引け もたもたするな
怒鳴る素振りも どことなく
似てくるもんだぜ 親子船

おまえにゃ負けぬと 粋がる親父
無理をするなと とめる俺
荒灘暮らしの 捲網船(まきあみせん)の
銹びた錨が 待ちのぞむ
根室は はるかな 波の涯て

つららを砕いて ロックで飲めば
白い吹雪の 花が舞う
二代目船長 襲名披露
そんなつもりで 北の海
男の墓場さ 悔いはない


13.海峡の春

作詞:星野哲郎
作曲:岡千秋

酒は熱(あつ)かん 佐田岬
肴(さかな)はきんめの 一夜干し
あとは何にも 何にも 要(い)らんぞな
三崎港に 春風吹けば
しみじみ思う 漁師に生まれて よかったね

鯖(さば)の一本づり 朝まじめ
さわらの一本づり 夕まじめ
まじめ一本 一本 生きたけに
恋の一本づりゃ 苦手だけれど
あの娘もホの字 漁師の娘で よかったね

今日の漁場も 三崎灘
行き交(か)うフェリーに あおられて
舟は横ゆれ 横ゆれ 波しぶき
花に見立てて つり糸たれりゃ
しみじみ思う 漁師に生まれて よかったね


14.来島海峡

作詞:星野哲郎
作曲:岡千秋

嘘も誠も 飲み込んで
潮は流れる 青々と
のせられた ふりをして
しかけた者の 鵜綱を
ぐっとつかんで ふりまわす
男の海だよ 来島海峡

わしの相手は 世界じゃぞ
身内の難儀にゃ 目もくれぬ
男には 男しか
わからぬ情が あるんじゃよ
文句言わずに ついてこい
はらわたゆさぶる 来島海峡

泣いてとび込む 椋鳥に
我が身削って えさをやる
人生の 荒海に
ただよう者は みな仲間
右も左も 有りゃせんと
しぶきが吠えるぞ 来島海峡


15.夫婦船

作詞:田久保真見
作曲:宮下健治

海が 海が 海が吠える…
お前の形見の 手ぬぐいが
俺のこころの 命綱
首にしっかり 巻きつけりゃ
こわいものなど 何もない
ひとりで乗っても この船は夫婦船

風に 風に 風に耐えて…
一羽のカモメが ついてくる
俺にゃわかるよ お前だろ
何も心配 せんでええ
一生お前が 恋女房
ふたりはひとつさ この船は夫婦船

船が 船が 船がきしむ…
まぶたに焼きつく 面影が
俺のいのちの 守り神
波がかぶって 踏んばれば
海にお前の 声がする
ひとりの海原 この船は夫婦船


16.男は浪漫

作詞:志賀大介
作曲:山本あやお

男が唄う 男の詩が
今日も巷に 明かりを灯もす
泣くな泣くなと 夜風の奴が
男の肩を 叩いて通る
男は浪漫 男は勝負
誠ひと文字 こころに抱いて
阿修羅のように 天使のように
男は生きろ

誰かに押され 誰かがそっと
にぎりこぶしで 涙を拭ぐう
いいさ黙って あの娘の胸で
優しい時を 過せばいいさ
男は浪漫 男は勝負
花の儚なさ いのちのつらさ
阿修羅のように 天使のように
男は生きろ

自分のことは 自分で仕切る
これが男の けじめじゃないか
今日と昨日と 明日が出合う
改札口は この世の縮図
男は浪漫 男は勝負
友の情けの 盃ほして
阿修羅のように 天使のように
男は生きろ